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子育て Vol.77 『脳を鍛える生活と遊びのすすめ』

くすの木幼稚園 副園長 関恵子

 さて今回は、文教大学教育学部特別支援教育専修 教授の成田奈緒子先生のコラムをお届けします。成田先生には、昨年の『白水学園子育て支援セミナー』にもご登壇いただき、子供の睡眠の重要性や家庭での過ごし方の大切さをお話ししていただきました。幼児期の今だからこそ知っておきたいお話しです。(20年前に聞いておけばよかった!…と私は強く感じています…笑)では、どうぞ…!

 0~5歳の乳幼児期は、生涯のうちで最も脳が急速に発達する時期です。そして「普通の生活」を繰り返し、親子でたくさん遊ぶことが、その脳の発達の重要なカギになります。まずは寝る、起きる、食べることが規則正しく繰り返されること、これが最も大事です。
 近年、働く親御さんが増えたこともあり、幼児の就寝時刻はとても遅くなっています。基本的には朝6時には目覚め、夜8時には寝付く生活が理想です。太陽のリズムに合わせた「昼行性」の生活の確立が、のちの「折れない心」「自ら学ぶ力」に繋がります。生活習慣が乱れている家庭では、まずは今の起床時刻を15分~30分早めることから始めてみましょう。早寝は早起きができれば自然に身につきます。
 そして、親御さんと思いっきり遊ぶことも、子供の脳にとっては重要な「脳育て」の刺激となります。楽しく夢中で遊んでいる時には、子供の五感はフル活動し、脳への刺激がいっぱいです。特に、手足をランダムに動かし、自由な発想で言葉を出す時に、脳の最も高度な部分である前頭葉が刺激されてぐんぐん発達します。前頭葉の発達は、のちに社会を生き抜くための「集中力」や「工夫する力」のもととなります。遊びがこれを作るのです。
 特に、高度な働きを司るこの前頭葉を育てることを主眼に置くならば、多種類の刺激が均等に五感を通じて脳に入ってくる親子遊びが理想的です。見て、聞いて、触って、においをかいで、時には舐めることもできる最も身近なものと言えば、お父さんやお母さんの身体です。親子がふれあい、じゃれついて遊ぶことは、前頭葉を大きく活性化させることがわかっています。また、遊びを教えよう、遊ばせようとするのではなく、むしろ大人が子供の前で集中して手足を動かしている場面を「見せる」ようにすると、子供はじっと見て真似をします。これこそが、「集中力」「工夫する力」です。例えば、昔ながらの手遊び(げんこつやまのたぬきさん、など)、くすぐり鬼(くすぐり鬼だぞ~!と子供をおいかけてくすぐる)、いらない新聞紙や段ボールをちぎったり丸めたり工作したり、などその時々の時間と場所に合わせて選んで遊ぶといいでしょう。
 一方で、遊び方が限定されている玩具、刺激が一方向のメディア(TV・スマホなど)への長時間の接触は、脳を育てる観点からは好ましくありません。まねっこ大好きな子供の前では、大人もメディア接触を控えましょう。ただし、それらを使いつつ、大人が子供の言葉を引き出したり、映像の中でみたものを実際に再現したりする工夫をすれば、脳を育てることができます。与えっぱなしにしない・時間を決めて使うことがポイントです。
 そして、理想的にはこの親子遊びを朝行うことがお勧めです。家族全員で早起きの習慣がつけば、朝食までに親子でひと遊びすることができます。この習慣が子供の空腹を作り、朝から食欲もばっちりになり、ニコニコ顔で幼稚園・保育園・こども園に登園できることでしょう。将来、学習活動を行うにも、朝は最も脳がすっきりしていて効率が良い時間帯です。是非、朝時間を家庭で子供の脳育てに活用していく生活を作ってほしいと思っています。

2025.9 全日本私立幼稚園連合会『私幼時報』より

 以上が、成田先生からのメッセージです。
 朝は誰しも忙しいものです。手の込んだ遊びや大掛かりなことをする必要はないと思います。でも、いつもより15分早く起きて、起こした我が子をお布団の上でくすぐってみてはいかがでしょう。「もっと、もう一回」と笑顔でせがむ我が子が目に浮かぶ気がします。「今度はお母さんにも!」とやり返してくるかもしれません。…そんなことから始めて、少しずつ朝の『親子遊び』の時間を確立させていけると良いですね。

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