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子育て Vol.1| ~『食』『触』『SHOCK』!?~ 

関 恵子

私は、『食育』という言葉に耳が痛くなる人です。
ナゼか。理由は、色々あります。我が子が『食べない子』だったから。私自身が好き嫌いの多い子だったから。(今は、出されたモノは何でも食べますよ!…レバー以外…ってダメですね…)料理が得意ではないから。等々…。

また、幼児教育に携わってきた教師人生の中で、『食』に手こずる子にもたくさん出会ってきました。食べない我が子に悩む保護者の方々にも、たくさん出会いました。『食』は、生きていく上でなくてはならないもの。命の、健康の、源。好き嫌いなく、適量を、何の苦労もせず、何の悩みもなく、我が子が食べてくれれば、こんなに嬉しいことはありません。我が子の『食』に、手こずっていないお母様方、それだけでもう、とっても幸せなんですよ!
何でも食べる我が子に育てたお母さん、スゴイ!
何でも食べるお子さん、エライ!!
…だけど、我が子の『食』に悩むお母様方もたくさんいらっしゃいますよね。

今月から、その『食』を絡めながら、子育てに関する色々なおハナシをしていけたらなぁ…と考えています。子どもとの触れ合い(触)、子どもを通しての驚き(SHOCK)、子育てはそんな毎日の繰り返し…。学童塾を担当なさっている白水奈々子先生と交代で、不定期とはなりますがお届けしていきますので、どうぞお付き合いくださいね。

さて、『食欲の秋』…とは言うものの、幼稚園には、やはり先日も給食に手こずる子がいました。「肉が嫌い」「野菜が嫌い」「そもそも食べたくない」…同じメニューでも、当たり前ですが苦手な物や理由はそれぞれに違い…。そういえばウチの子は、量が食べれなかったなぁ…。そんなことを考えながら、給食を目の前にしかめっ面をしている子に食べるように声をかけました。

素直に小さな一口をガジッ。
「お、エライ、食べれるやん」でも、その後の咀嚼が長い…。モグモグモグモグモグモグモグモグ…。
「いや、もうよくない?ハイごっくん」今度も素直に飲み込む。
「おー、食べれた食べれた。ハイ次」
えっまた?…と、言わんばかりにちょっと嫌そうな顔をしながらもう一度ガジッ。
何が好き?お休みの日は何してる?弟の名前なんだったっけ?お姉ちゃんはもう4年生だよね…そんな他愛もない会話をしながら
「はい、じゃあ次これ食べよう」「もう飲み込んでいいよ」
時々食べるよう促しながら、繰り返し繰り返し。
…気づけば、給食のお弁当箱は空っぽになっていました。
「スゴイ!全部食べれたやん!!」
当の本人は、複雑な表情。褒められて嬉しいけれど、嫌いなモノまで全部食べたのは本意じゃないし…そんなところでしょうか。

今回は、たまたま上手くいきました。こんなに簡単に食べてくれる子は、あまりいません。給食を苦手とする子は皆、次の一口には中々行けないので…。食べ終わったその子が、片付けや歯磨きをするのを見ながら、担任の先生が反省の様相で声をかけてきました。
「すみません、私、こんなにゆっくりこの子の食事に付き合ったことがありませんでした。付き合ってあげればちゃんと食べるんですね…」
イヤイヤイヤイヤ、中々付き合えないよ。そう答えました。

28人の子どもに食べるように声をかけ、一人ひとりの様子を見て、食べない子にはさらに声をかけ、食べ終わった子の行動を確認し、時には薬を飲ませ、隣の教師や補助の先生にクラスを頼んで園庭の管理に行き…。
私のように『その子』の横にどっかりと座りこみ、のんびりおしゃべりをしながら食べさせるなんて、担任の先生にはできません。
もっと言うならば、私にだって、毎日はできません。

だから、白水学園は、みんなの先生でみんなの園児を見ている、とも言うのです。

次の日に『その子』のクラスへ様子を見に行ったら、別の子が
「〇〇ちゃんならもうお外行ったよ!今日はね、全部食べてたよ!」
私は何にも聞いてないのに、私の顔を見るなりそう教えてくれました。嬉しいなぁ…。
小さな幸せを頂きました。教えてくれたその子にも、すでに食べ終わって園庭へ行ったあの子にも。

食の細かった私の次女の食事に、私はゆっくり付き合ったことなどありませんでした。
片付けをしながら、準備をしながら、家事をしながら、「早く食べなさい!」かける言葉はいつもこれだったように思います。…だって、色々忙しかったから。でも、その時の私は、28人の園児を前にした教師ではなかったんですよね。我が子を前にした一人の母親でしかなかったはず。…我が子にも、先日のようにゆっくり付き合ってあげたら…怒られずに食べる子に、食に悩まない子に、なっていたのかなぁ…。

今となっては、『タラレバ』ですが、一度くらい付き合ってあげても、試してみても、良かったかなぁ…と、今さらながら思っています。

関 恵子

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