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子育て Vol.23 『頑張る気持ち』

くすの木幼稚園  副園長 関 恵子

「関先生、もみの木幼稚園の運動会頑張っとった?」夕方、幼稚園の玄関で偶然出会った年長の男の子に声をかけられました。その前日、年長の子ども達に「明日と明後日は、もみの木幼稚園と森の木幼稚園の発表会のリハーサルを見に行ってくるね!」そう話していたからです。…なんだかとっても嬉しかったです。その子は、普段から頻繁に私とおしゃべりをしてくれるわけではありません。でも、廊下ですれ違いざまに「先生、今日、逆立ち歩きで後ろブリッジからできた!」と教えてくれたこともあります。その時も、突然話しかけられて、でも、わざわざ私にも教えてくれたことが、とっても嬉しかったです。…偉いなぁ…と思うのです。気になったこと、ふと思いついたこと、嬉しかったこと、誰かに聞いてほしいこと…パッと頭に浮かんだその自分の想いを、物怖じすることなくポンッと相手に伝えることができる。…とても大切なことです。

 

私の三女は、「スプーンを貸してください」が言えず、職員室の前に1時間近く立ち尽くしていたことがあります。その間、無言で立つ三女の脇をすり抜けて通らなければならなかった先生達は延べ人数にすると何十人いたのでしょうか。通りながら「誰の子だっけ!?」そう思っていたであろうことは間違いありません笑。「もういい加減声をかけてあげようか」「そろそろ手を差し伸べてあげようか」そう思ってくれていたであろうことも、きっと間違いありません。でも、本当にありがたいことに、その気持ちを堪え、放置してくださいました。おかげで、最後は「あじさい組の…」と言うことができたようでした。一種の根比べです。大人の方が時間に負けて子どもにできることを奪ってしまうのが先か、子どもの方が我を通すことを諦めるのが先か。この時の場合で言えば、教師の勝ちです。見事に三女の『言いたくない』『恥ずかしい』そんな我が儘を負かしていただきました。

 

先の男の子の姿を思い返しながら、我が子のこの10年程前の姿が浮かびました。なんとなくですが、あの時、職員室で頑張らせてもらっていなければ、未だに三女は「恥ずかしい」そんな気持ちに負けて、いろんな場面で『言わない』選択をし続けていたのではないだろうかと思うのです。実際、今も職員室に入るのは好きではないようです。先生に質問等で話しかけるのも、ちょっとした勇気がいるらしい。…もう中3にもなるのに。ただ、まあ何とか日常のやり取りができているのは、きっと、あの時のあの経験がきっかけとなったからなのでしょう。

あの男の子は、きっとこれから先も誰にでも問いかけたり話しかけたりすることができると思います。それは、『性格』ももちろんあると思います。いいですよね!人懐っこい性格。明るい性格。これは、あの子の宝物です。三女があの男の子のような性格だったら…なんて、そんな無いものねだりなことを言っても仕方がありません。性格は、そうそう簡単に変わるものではありませんし、何より、大人しい性格だから残念…なんてことを思っているわけでもありません(そもそも三女は大人しくもないのですが…)。でも、「この子はこんな性格だから…」と、何かを苦手とする時に『性格で片づけてはいけない』のです。いろんな性格の子がいます。個性とも呼ぶその性格は、簡単に変えることができないからこそ、性格で行動するのではなく、『頑張る気持ち』で行動することを子どもには教えなければいけないのです。

あの男の子が、通りすがりに「逆立ち歩きできたよ!」と声をかけてくれたのは、歩けて嬉しかった気持ちに人懐っこい性格も加わったからだと思います。でも、あの日の夕方「先生、もみの木幼稚園の…」と声をかけてくれた時は、きっと人懐っこい性格だけではなかったと思います。プラスされたのは、多分、ちょっぴりの勇気。「もみの木の年長はどんな?」「おんなじくらい頑張ってる?」「どっちがカッコよかった?」こんな子どもらしい好奇心が『話しかける』という行動に繋がった…繋げることができたのだと思います。その証拠?に、『発表会』を『運動会』と言い間違って真っ赤になっていました笑。人懐っこい性格でもありますが、同じくらい恥ずかしがり屋さんでもあるので…。ちょっぴりの勇気を出して、ちょっぴり緊張したんだろうなぁ。頑張って話しかけたんだろうなぁ。そう感じました。

『頑張る気持ち』は、急には育ちません。三女も、あの『スプーン事件』一つで行動が変わったわけではないのです。きっかけに過ぎない。だからこそ、毎日の大きな声での挨拶や返事、気をつけナドナド…頑張るのです。毎日の小さな頑張りが積み上げられ、発表会での姿、1年後5年後10年後の姿へと繋がっていくのです。

さあ、今日も私達と一緒に『頑張る気持ち』を育んでいきましょう…!!

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