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子育て Vol.33 『これからの人生で・・・』

くすの木幼稚園  副園長 関 恵子

 「難しかった…」発表会の練習が終わった後、ボソッと年少の女の子が呟きました。…呟きましたが、『できなかった』わけではないのです。その時、その時間、ほんの2~3度練習をすると、あっという間にできるようになりました。でも、確かに、「できたね!」「スゴイ!」その時にそう声をかけても、なんとなく渋い顔。自分の『デキ』に納得がいかなかったのかもしれません。『できない』と『できる』の違いを、自分で実感できていなかったのかもしれません。その表情も気になり、その保育後にもう一度、「すごいね、できたね!」と声をかけてみました。その返答が、冒頭の「難しかった…」でした。

割と何でもできる女の子。練習を始めた当初(12月頃)は、張り切ってやっていましたが、段々と思うようにいかなくなったようで、「いやだ」「やりたくない」そう口にするようになり、時々泣いて登園するようにもなりました。…こうなると、やっぱり、お家の方は心配ですよね。その子が『嫌だ』と思っていることが明確な分、それを『取り除いてあげたい…』そう思うのは、当然だと思います。

子どもが泣いて登園することは、たまにあります。(年度当初は、たまにどころかよく見られます!笑)「あれがイヤ」と、理由をはっきりと口にする子もいれば、「何が嫌なのかわからない…」と保護者の方も私達も困惑してしまう子もいますし、中には、『保護者の方との別れ際に泣くこと』がお約束のようになっている子もいます。ただ、理由が何であれ、また、理由がわからなくとも、『何か』がその子を苦しめ、泣かせているのでしょうし、目の前で泣く我が子を見て平気でいられる親もいないですよね。できれば、我が子の泣く姿は見たくない。できれば、我が子を苦しめているそれを取り除いてあげたい。生まれてわずか3歳の、4歳の、5歳の、我が子に、苦しい思いなんかさせたくない…!…これは、普通に芽生える親心だと思います。

 

ところで、『これからの人生 楽しいこともあれば嫌なこともあるさ』大人の私達には『あたりまえ』にも思える『くすっ子』のこの言葉。ありましたよね。今までの人生の中で、楽しいこと!嫌なこと!! その内容も度合いもきっと人それぞれで、嫌なことの中には乗り越えられたものもあれば、もしかすると、今でも闘っていることもあるかもしれません。誰かにとっての嫌なことが、自分にとっての嫌なことだとも限りません。色々色々…ありますよね。

…だから、そう。子どもにも、あるんです。嫌なこと。それは、冒頭の女の子のように、何かの練習かもしれません。それは、嫌いな食べ物かもしれません。それは、友達とのトラブルかもしれません。それは、『人前に立つ』というプレッシャーかもしれません。それは…その子にしかわからないことかもしれません。

例えば、その子の嫌いな食べ物がトマトだったとして。「トマトを食べなくても、ビタミンだってリコピンだって別のもので補えばOK」と言ってしまうと、もう身も蓋もないのです。私達大人にとっては、ちょっとした栄養素の問題に見えますが、でも3歳のその子にとっては、巨大な巨大な、それはもうお化け並みのトマトなのです。そのトマトをちょっとでもかじることができたら、もしももしも、パクッと食べてしまうことができたら、その子は、お化けをやっつけたくらいの気持ちになれるかも…そう考えたら、闘うこともいいのかも…と、思っていただけると…嬉しいです。

もちろん、その子が苦しんでいる『嫌なこと』が、どれもそんな風に簡単?に乗り越えられるものだとは限りません。ただ、その『経験』をすることが、大切ではないかと思うのです。嫌なことから逃げずに頑張った。苦しかったけど、練習を何度も頑張った。そんな経験。冒頭の女の子のように、できても、褒められても、もしかしたらすぐには『嬉しい』を感じないかもしれない。それでも、これから何度も練習を重ねたら、じわじわと実感するかも…!『苦しい』『嫌だ』を、好きにさせてあげることができるかも…好きにさせてあげたい…絶対好きにさせよう! きっと、その時は、あの女の子は渋い顔じゃなくて、そして心配していた女の子のお家の方も不安そうな表情じゃなくて、心から笑ってもらえるんじゃないかな…!

幼児期の今、我が子の目の前にある、我が子の苦しみ。我が子の嫌なこと。大人のチカラで取り除くことは、多分、いつでもできます。だから、少しだけ待ってみてください。様子を見ていてください。黙って待つことは、黙って見守ることは、我が子が感じている苦しみと同じくらい親も苦しい。でも、その苦しみに、我が子が自分で打ち勝つことができたら…。経験が一つ増えたら…。これから続いていく我が子の人生で、嫌なことが起きた時にも、きっと、逃げずに、諦めずに、闘うことができる子になりますよ…!

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