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子育て vol.34 次女を無理やり自然塾に連れて行ったハナシ

森の木幼稚園・くすの木学童塾  白水 奈々子

 「幸せを運んで来てくれた」

 17年前、次女が生まれた時に、心の底からそう思いました。生まれてこなかったらなかったであろう方々との出会い。長女長男の時にはイライラ、悩み、葛藤をたくさん抱えての育児でしたが、少し余裕のある自分。面倒を見てくれる上の子ども達。やっと、『母親』にもなれたかな、という気持ちでした。余裕があると、なんて可愛く思えるのでしょう(ホントにごめんなさい、長女&長男)。

姉兄たちに比べて、人見知りもしなかったのでみんなに可愛がられていました。私が働き始めてからは、職員の託児第一号として、ベビーシッターさんにとてもよくしていただきました。幼稚園の頃は、なかよしクラブにお世話になり、学童塾の第一期生でもあったので、小学三年生までは下校後からは学童塾にも来ていました。数年専業主婦をしていた上の子達の時と比べ、赤ちゃんの時からずっと預けていることに少し後ろめたさを感じつつ…。そんな気持ちから、日常的に「甘やかし」てしまっていたことに、後に気づくことになります…。手がかからずに育ってきたと思っていた次女は、気づくと一番ワガママで、言うことを聞かない、学校でも友達とのトラブルが多く、友達も少ない…そんな子になっていました。

 

ある時、友人から『Ⅰ自然塾』の話を聞きました。佐賀県の山の中にあるその自然塾は、「生きる力を大地から学ぶ」として、農業体験、自然体験、共同生活の3つを柱に規律・自主性・創造性を育み、子どもの成長を支援するNPO法人です。対象は、小学4年生から中学2年生(主に小学生でした)。

3月~12月まで隔週末、二泊三日をそこで過ごし、年間全18回行われます。(残念ながら、昨年からコロナの影響で日帰りの実施になっているようですが、変わらず活動は続いているようです)

「ここで、もまれる体験をさせなきゃ!」そう思い、5年生の時に行かせようと、次女に話しました。すると、ハンパない拒絶!「三日も家に帰れないなんて絶対嫌だ~~!」と泣き叫びました。その後も話を出すたびに泣き叫ぶ…。あきらめない私は、一年後に照準を合わせました。次年度の申込受付が始まると、コッソリ願書を送りました。その後面談、抽選となります。

面談の当日、行先を告げず次女を車に乗せ、自然塾のある山の中へ向かいました。「ここはどこだ?」と不審に思い始めた次女…。少し抵抗したものの車の中。しかも、私の一年越しの計画はゆるぎません。それを察し、もう泣くことはありませんでした。母の執念を感じたのでしょう…。

そして、小学6年生の10か月間、塾生として欠けがえのない貴重な体験をさせていただきました。

金曜日の下校後にJR春日駅で「行ってらっしゃい」をして、日曜日の午後にまた同じ駅で「おかえり」をします。一人で電車に乗って行くところから自然塾の始まりです。きょうだいの一番下で甘えていたので、グループの中では上の立場で、年下の面倒をみるといういい経験もできました(これも私の思惑通りです笑)。話を聞いてくれない年下の子に手を焼いていることもありましたが、グループの結束は回を増すごとに強くなり、泣き叫んでいたのが嘘のように毎回楽しみに行くようになりました。親が参加できる日が一度あり、近くのお寺で夫婦で「座禅」の体験をさせてもらい、いい思い出にもなりました。また、年間通して農作業をするので、収穫した野菜を持ち帰って来ては、農業の豆知識を聞くのを楽しみにしていました。そして何より、苦手な野菜がなくなりました!!

 そんな、無理やり連れて行った自然塾でしたが、いいことづくめでした。自然から多くのことを学び、家庭の中だけでは教えられないことがたくさんあるのだと気づきました。まだ、自分勝手なところのある次女ですが、中学からは友達とのトラブルもほとんどなくなったようです。昔から『可愛い子には旅をさせよ』と言われるように、思い切って手を放すことも必要ですね。少しずつ、でいいですので。

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