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子育て Vol.55『食事に思うこと』

くすの木幼稚園  副園長 関 恵子

 子供が、好き嫌いなく何でも食べてくれればそれが一番ですが、なかなかそうはいきません。気持ち良いほどパクパク食べてくれる子もいれば、好きなものだけをササッと食べて嫌いなものと30分以上にらめっこしている子もいます。遠目に箸がよく動いていて「よく食べているな~」と近づくと、口元と給食の間を箸が行ったり来たりしているだけで、実際は口の中に何も入れずに食べている振りをしている子もいます笑。ご飯粒を1~2粒だけつまんで口の中へ入れる子、前歯でちょっとだけ噛んで口に入れる子、食べ物を口に入れたは良いけれど吐き出してしまう子、咀嚼はするものの中々飲み込むことができずにいる子…。日々、目の前の食べものと闘う子が幼稚園にはたくさんいます。そして、その子供と向き合い、頭を抱え、闘っている先生方もいます。…我が子の食に悩むご家庭では、同じような闘いが繰り広げられているかもしれませんね。

 何度かこの『迷子の子育て』でも書いてきましたが、私の次女は、本当に食べない子でした。食べる量がどれくらいかと言えば、親指と人差し指で丸を作った位のご飯やおかずが精一杯。この量は、小学校の低学年まで続きました。食事の代わりにおやつをたくさん食べていたわけでもありません。例えば誕生日のお祝いケーキにしたって二口三口でおしまい。腕も足もガリガリで体重曲線はいつも平均の遥か下。母乳こそ量はわかりませんでしたが、ミルクを飲むようになってからも200mlを飲み干したことなんてありませんでした。そして、食事にかける時間はどんなに短くても1時間…。あの頃の私は、毎朝「今日は朝ご飯食べてくれるかな」そんな憂鬱と共に目を覚まし、日中は「夜ご飯は何を作ったら食べてくれるだろう」そんなことばかりを考え、いざ食事になると「ちゃんと食べなさい!」「ほらごっくんして!」「いい加減にしい!」(机をバーン!と叩く笑)…とまあ、オニ母も良いところ。何をどうしても食べない我が子と、毎回毎回残される食べ物を目の前に、私の口から出るのはため息と我が子への怒号でした。私にとって食事の時間は苦痛でしかありませんでしたが、私以上に、次女の方が地獄のような時間だったかもしれません。
 「何故そこまでして食べることにこだわるのですか?」「ただの意地なのでは?」「無理矢理食べさせても良いことなんて無いでしょう?」そんな声が聞こえてきそうです。確かに、もし私が次女の口をこじ開け食べ物を押し込むなど虐待まがいのことをしていたのであれば、『無理矢理』と言えると思います。でも、そんなことをしていたのではありません。ガリガリの我が子は、熱を出したり病気をしたりした時は体力もなく回復に時間がかかる。給食に時間がかかる我が子は、外で遊ぶ時間も少ない。食に意欲のない我が子は、毎日必ずやってくる給食や食事の時間が憂鬱そう。…『食べない』ことで我が子にとって良いことなんて一つもありませんでした。「いつか食べるようになるだろう」と待っているだけでは、毎日三回の食事イコール苦痛の時間となり、その方がよほど苦しい想いを与えている…。そんなことを考えていた私は、確かに意地になっていたと思います。でも、だからこそ、自分の関わり方を反省もしましたし、アドバイスをいただいたり工夫をしたりもしました。何とか食べるようになってほしい。一日三回もある食事の時間を楽しい時間にしてあげたい。いつもいつもそんなことを考えていました。

 我が子が食べないと悩むお母様方。きっと、我が子への想いは同じではないでしょうか。苦しい思いや食に対するイヤな想いを感じてほしくないから「無理して食べさせなくて良いです」と仰るのだと思います。でも、子供が辛そうだからと、給食の時間を嫌がっているからと、それを取り除いてあげても解決はしません。「嫌いだけどちょっと食べてみるね」「ちょっと苦いけど我慢して飲み込んでみたよ」「頑張って口に入れたよ」こんな姿は、子供にとって、小さなチャレンジであり、小さな我慢であり、でも、とてもとても大きな頑張りです。そして、そんな姿に先生方は寄り添い、励まし、少しでも食べることができた時は一緒に大喜びしてくれます。取り除くよりも難しいことですが、その分の子どもの喜びや成長はとても大きい…!!

 食事を通しての小さなチャレンジや我慢の積み重ねも、間違いなくその後の人生での頑張る力になり、その子を成長させる力になります。「そんなの、言葉ではわかるけど、でも目の前の我が子は泣くし、嫌がるし、とにかく食べないんですよ…」「毎日毎日、もうどうしていいかわかりません…」そんな声も聞こえてきそうです。もし、そんな状況でしたら、全部私達にぶつけてください笑! ご相談ください! 幼稚園では、個人懇談が始まりました。お話ROOMもあります。一緒に『あの手この手』を考えましょう…!!

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