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子育て vol.40『大人の本気』

森の木幼稚園・くすの木学童塾  白水 奈々子 

 改めて、このページの『~我が子へのザンゲ~』として、一番に思い浮かぶのは…。我が子三人共に何度か、いえ何度も手を上げてしまったことです。お尻にいけばいいものを感情に任せてほっぺたを平手打ちしたことも。今だったら通報されるかもしれません…笑。

 子ども達が、まだ聞き分けのない頃、よく感情的に怒っていました。ここでもよく書いてきましたが、人見知りが激しく私から離れない、泣き虫の長女の泣き声に耐え切れずに…と言うこともありました。感情的にならずにキチンと話して聞かせなくては、という思いよりも自分のイライラの方が大き過ぎて手を上げてしまっていました。「母親失格じゃないですか!」と言われれば、何も言い返せないです。今、お母様方に子育てについてお話をさせてもらうことや相談を受けることがありますが、実は、そんなダメダメな母親でした。ただ、そんなことがありながら三人を育てた経験が参考になれば、そして子育てに悪戦苦闘中のお母様方に共感できれば、という想いでいます。

 お話する中で、「手は上げないようにしています」と言われるお母様方を本当に尊敬します。子どもの泣き声に、「泣きたいのはこっちだ~~!」と、何度思ったことか。そして、手を上げてきたことで、我が子はどういう想いでいたのか…。(今度聞いてみます…)

 私自身、たくさん叱られてきました。学校の先生、部活動の顧問など他人からも叩かれて育った世代です。両親、祖母、先生、それぞれの一番大きなカミナリは、理由も、その時の光景も鮮明に覚えています。部活動の顧問の先生は、戦略を何度教えても試合で実践できない私に苛立っていたのでしょう、一往復半のビンタは忘れられません。30年ほどたってから同窓会でお会いした時に、「すまんかったね~」と謝られましたが、トンデモナイ!私にとってはあの時のビンタのおかげで、なにくそ根性がついて有難かったと逆にお礼を言いました。感情的になるほど、愛情を注いでくれていたと感謝しています。

 もう一つ、忘れられないのは祖母に叱られた思い出です。小学校一年生の時です。理由は、夕方になって、家が少し遠い友達の家に遊びに行くと言い張ったから。遊びに行くと言ってきかなかった私は、引き留めようとしても頑なに行こうとしたのでしょう。庭続きの隣に住んでいた祖母は、共働きの両親の代わりにいつも私の面倒を見てくれていました。優しく、安心感のある存在でした。そんな祖母が…私の両足を持ち上げ、逆さ吊りにして怒ったのです。「ダメって言いよるやろーーー!!」。逆さ吊りにされた私は、泣き叫び、遊びに行くことはできませんでした。祖母に叱られた経験はその一度しか記憶にありません。多分、それからまた同じワガママを言ったことはなかったと思います。その後も私は祖母が大好きで、亡くなるまでずっとおばあちゃんっ子でした。

 大人の本気。それは子どもに必ず伝わると思います。手を上げることを勧めているわけではありません。そして、感情的になるのがいいとも思いません。もしワガママを言ったり、泣き叫んだりしたら、

本当は、子どもの話をキチンと聞いてあげて、言い聞かせるのがいいのだと思います。でも、本気で我が子の将来を考えて、「絶対こんな風に育って欲しくない!」「今言わなくていつ言うんだ!」と思えば、どうしても感情的になってしまうこともあると思います。私は、感情的になる事をそれほど『悪』と捉えなくてもいいのではないかと思います。だって、『本気で、あなたのことを考えて』いるからこそですよね。

 実際、たくさん叱られてきた私は、大人になって、両親、祖母、先生の気持ちが分かり、当然だよな、と思えます。トラウマなんて全くありません。肝心なのは、何でそんなに大人が怒っているのかが、伝わっているかどうか、だと思います。家庭では、安心感と共にダメなものはダメだと伝えていかなくてはいけません。将来独り立ちする時に、家庭で厳しく言われてきたことや、許してもらえなかったことの意味を理解し、自分を律していけるようになって欲しいと思っています。社会に出てからの方が、思うようにいかないことが多いのですから。

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