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子育て Vol.15|~食べることは生きること~

関 恵子

幼稚園で給食が始まりました。この時期は、毎年必ず先生達から相談を受けます。その内容も実に様々。「頑なに口を閉ざしたままで、一切食べてくれません」「お母さんに聞いたら、唐揚げとポテト以外ほとんど食べないらしいです」「味ご飯じゃないと食べないそうです」「家で食事にかける時間は2時間だと聞きました」「家ではじっとして食べてないみたいで、一口食べたら椅子から離れてどっか行っちゃうらしいです」等々、先生達の悩みは尽きません。

「お母さん、頑張って食べさせましょう」…口で言うのは簡単です。それは私が一番よく知っています。何故なら、我が次女に『食』で相当悩まされたからです。「食べない」一言で言っても、その内容は様々。偏食・少食・掛ける時間・お行儀…等々。

次女の場合は、少食でした。とにかく、食が細い。幼稚園児にして親指と人差し指で丸を作ったくらいしかご飯を食べない。ハンバーグで言えば、家庭で作る大人サイズの4分の1も食べれば良い方。そのくせ、最初から少なめにつぎ分けるとお姉ちゃんと同じだけ欲しいと泣き叫ぶ。「いただきます」をしたところで箸がサクサク進むわけでもなく、小さな一口がちびちび。…もう、本当に、何度テーブルを叩いたことか。何度怒鳴りつけたことか。とても人様に言えない、見せられない、鬼と化した私…。

でも、どんなに怒っても、脅しても、なだめても、すかしても、一口は増えないし、スピードも上がらない。情けないやら悔しいやら心配やら悲しいやら…。何が?…周囲を見渡せば、同じ年頃でもパクパク食べる子ども達。何故、私は食べる子に育てられなかったんだろう、と自分が情けなくなるし、「食べなさい!」この言葉と私の対応…それがダメなんだとは思うけれど、私は親なのになんで言うことを聞かせきれないんだろう、と母親としての力量のなさに悔しくなるし、ガリガリに痩せた細い腕や足を見ると、栄養は大丈夫なんだろうか、と心配になるし、毎日毎日、一生懸命ご飯を作っても、決して完食されることなく残される食べ物を見ると、ため息もでるし悲しくもなるし…。

気がつけば、もう10年以上も前の話になってしまいましたが、あの頃は毎日が地獄のように感じていました。一日三回の食事。うち二回は、我が家。「また朝が来た」「今日こそ食べてくれるかな」「夜ご飯は何にしよう」…私にとって、食事の時間はストレスでしかありませんでした。つまりそれは、次女にとっても同様。泣かずに、泣かせずに、食事の時間を終えたことなどなかったような気がします。何度、食事の関わりを放棄したいと思ったことか。何度、「もう食べなくていいよって諦めたがいいのかな」と思ったことか。…でも、人間は食べないと生きていけないんです…。

飽食の時代といわれる今。確かに、嫌いなものを無理して食べなくても、生きてはいけます。栄養価の高いものはたくさんあります。サプリだってあります。でも、私たちは人間なんです。心を持つ、人間なんです。食べ物を口にして「おいしい」と感じたり、団欒の中で共に食事をして「楽しい」と感じたり、おいしいものに出会ったら誰かに「食べさせてあげたい」と感じたり…。『食』からそんな『幸せ』を感じることができる人間なのです。食べ物を口にすることだけが大切なのではありません。そんな人間らしい『心の豊かさ』を食を通しても感じさせてあげることが大切なのです。それが、人間として『生きる』ということだと思っています。好きな物だけを口にするのではなく、食べたい時だけ食べるのではなく、誰かの手で心を込めて作られた野菜だからこそ、その命を頂く肉や魚だからこそ、ちゃんと食べましょう。いろんな味を知りましょう。いろんな料理の仕方を知りましょう。…いろんな物を食べる大切さを、教えてあげてください。

「お母さん、頑張って食べさせましょう」…我が子の健康や成長を願わない親がいるわけはないのですから、『食』で悩むお母さんには、このセリフは少々キツイかもしれません。でも、だからって、『食べなくて良い』選択をしないでください。「どうしたって食べないから」と我が子の『食』を諦めないでください。「いつか食べる」は、何もしなければ、諦めれば、「いつまでも食べない」ままです。何とか食べさせよう、食べさせたい、その想いがあるから、子どもに通じるから、食べるようになるのです。間違いなく、私達教師は「食べさせたい」と思っています。でも、私達だけが頑張ってもその想いは半分しか通じません。…頑張ってご飯を作っても、今日も食べてくれないかもしれません。好きな物しか食べたくないと駄々をこねられるかもしれません。それでも、どうか諦めないでください。投げ出さないでください。「一口でもいいから食べようね」と、「明日こそは食べようね」と、頑張らせ期待をかけるその気持ちをなくさないでください。

次女は、最近「太ってきた~、ダイエットせな…」と、いかにもJK(このコトバ、先月の復習です笑)らしいコトを口にします。確かに。相変わらず細身ではありますが、「うん、そのウエストは絞ったがいいかも」(自分のことは棚上げ!)なんて会話ができます。人並みに食べるようになったのは、小学校の4年生頃です。…長かったな~…!!

関 恵子

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