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子育て Vol.20 『仕込みは十分?!』

白水奈々子

初めてお母さんになった22年前。そして、1年半後に長男が生まれてからしばらく…合わせて3~4年くらいの間でしょうか、私はめちゃくちゃイライラ、辛い子育ての日々でした。長男が2歳になる頃には二人で遊べるようにもなったので、少しだけ楽になりましたが。今思えば、私があまりにガミガミだったからでしょう、姉と弟はとても仲が良く、子どもの頃から、22歳と20歳になった今でもほとんどケンカはしたことがありません。

人見知りの激しかった長女は私からひと時も離れず、家のトイレの中にもついてきていました。たまに実家に預けようとしても「オカアサ~~ン!!」と泣き叫ぶので申し訳なく、遠慮がちに。

ベビースイミングや市の子育て講座を受講したり、友だちの家に連れて行ったりしても他人に慣れることは一切ありませんでした。お母さんの顔が見えないからかベビーカーにも乗りたがらず、もちろんスーパーのカートにも乗らず、ひたすら泣く…。弟は、姉ほどはなかったものの、現在に至るまであまり喋らないタイプ。でも弟はすぐにウルトラマンや見えない怪獣という素敵な存在を見つけて没頭することを覚えました…。

 私自身、そんなに生真面目な性格とは思っていないのですが、あの頃はそんな我が子を目の前に、ただ、『周りに迷惑をかけてはいけない』と思い込んでいました。外に出ると泣いてうるさいので、特に機嫌が悪い日は「外には出ない」「今日は雨だと思おう」なんて考える日もありました。

 子どもが成長し、話が分かるようになってからも「迷惑をかけてはいけない」という思いは続き、子ども達にもそう言っていました。学校で泣いて、先生の手を煩わせてしまった時も「ほら、先生に迷惑かけたでしょ!」というのが先に出ていました。それは、「私が恥ずかしい」という保身の気持ちも少なからずあったと思います。子どもの気持ちは二の次になってしまっていました。母親は、誰よりも子どもを信じ、味方でいないといけない存在なはずなのに…。もちろん、我が子はカワイイ、でもそれよりも人に迷惑をかけてはいけない、私が何とかしなくちゃいけない、という意識の方が強く、あまり優しくできませんでした。いい母親ではなくて申し訳なかったと思います。でもその時は、親の手を離れた時に、人様に迷惑をかけずに自分で何でもできるようにしておかないと…その為に家にいる間に仕込んでおかなければ…とそんな風に思っていました。

 もう成人した二人は、厳しい親だと感じていたと思います。ただ、いつも伝えていたのは「自分でできることはしなさい。できないならしなさんな」ということだけでした。周りの友達のお母さん方は優しく、「してくれる」ことがあっても、うちでは「自分で」しなければいけない。「お前のかあちゃん怖い」と、息子がよく言われていました。でも、当の本人は「そうでもないよ」と言っていたのは、強がりだったのか、うちはこうだから仕方ない、と思っていただけなのか…。

 人は、一人では生きていけません。誰でも周りに迷惑をかけることや助けてもらうことがたくさんあります。お互い様の気持ちが大切ですよね。けれど、子どもだから迷惑かけても仕方ない、うるさくて当たり前と、始めから言ってしまっては親の役割は果たせているのかな、と思います。子どもを自立させるのが親としての責任だからです。その為に、小さな我慢を教えたり、できることはさせたりと、先を見据えて教えていかないといけませんね。

 さて、我が家は長女が春から新社会人です(まだなれる保証はありませんが…)。この時の為に仕込んできた22年の歳月のハズですが、そう、うまくいくことばかりではないでしょう。それもまた人生。自分で決めた道を進んでもらうしかないッ‼ 

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